ブラストによる下地処理(素地調整)
ブラストと言えば下地処理、下地処理と言えばブラスト
長期間この原鉄メールマガジンにてPRを続けた結果、
おそらく皆様にもこのように認知されているかと思います。
ブラスト加工は塗装の耐久性向上、製品の長寿命化を目的に
塗装前の下地処理で行われる事が多くあります。
高速で研削材を発射し金属表面にぶつける事で、金属の表面の錆や酸化被膜といった
不純物を除去し綺麗な金属素地を露出させます。
また研削材が表面を削り取る事によって、ランダムな凹凸が形成されます。
不純物の無い清浄かつ凹凸な表面へ塗装を行う事で、塗料が凹凸の隙間に入り込み硬化
塗装が剥がれる可能性を極端に下げ長寿命化させます。
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ブラストの様々な活用法
ブラストの活用法は上記で紹介した「塗装前の下地処理」のみに限りません。
活用法の1例を紹介します。
①梨地加工
ガラスビース加工後 サンドブラスト加工後
ブラスト加工後の表面は梨地(なしじ)と呼ばれる凹凸のある質感に変化します。
表面は光沢を抑えたマットで高級感のある仕上がりとなり、
塗装とは違った凹凸のある質感は独特で素材本来の風合いと表現する事が可能です。
製品に意匠性という視覚的魅力を付与させ、新たな付加価値を生み出します。
また梨地には意匠性以外にも優れた効果があるため、様々な製品で活用されています。
②損傷を抑えた洗浄
M24 M16 M8
ボルト・ナットの表面を研削力の弱いガラスビーズにて洗浄しています。
表面に付着していたサビや汚れなどは完全に除去しつつ、
素材への損傷が少ないため加工前と変わらず使用する事が可能です!
しかし表面が損傷する恐れはあるので、事前にサンプル加工する事をオススメします。
原田鉄工では特殊薬品で金属表面を損傷させずサビ・油分のみ除去する事も可能です!
もし気になる方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。
【特殊薬品を使用した表面を傷つけない錆落とし】
③接着性の向上
グリットブラスト加工後
ブラスト加工後の凹凸のある表面は塗料の密着性を向上させるだけではありません。
接着剤を使用する場合でも接着剤と金属表面の密着性が向上するので
より強固に接着する事が可能となります。
これは樹脂によるコーティングやメッキ処理にも同様の効果を発揮します。
剥がれ落ちる可能性を減らし、不良発生率を大幅に軽減する事が可能です!
④疲労強度と耐摩耗性の向上
ブラスト加工で金属表面は研削材によって何度も高速で叩かれます。
(ショットピーニングとも言います)
この現象を専門的な言い方だと冷間加工と言い室温で金属表面を塑性変形(永久変形)
させていることになります。
これにより表面の硬さが増し強度が高まると共に、
疲労強度(繰り返し荷重がかかる時に破壊に至るまでの強度)、耐摩擦性能を向上させ
材料の寿命を延長する効果があります。
梨地加工の優れた効果
梨地加工とは表面に微細な凹凸をつける事により、梨の肌のような質感に仕上げる
加工方法で素材を選ばす加工できます。
実は梨地加工で仕上げてある製品は身の回りに数多くあります。
ドアノブなど建築資材、スマートフォンやパソコンなど電子機器、指輪など装飾品、
タンブラーなど日用品、包丁などの調理器具…
これだけ幅広く加工されているのは梨地には優れた以下の効果があるためです。
①高級感を演出
梨地の光沢を抑えた落ち着いた風合いは質感や新たなデザイン性を付与させ、
高級感のある仕上がりする事ができます。
ブラストによる梨地加工は研削材のサイズや材質などを変更する事で、
仕上がりもまた変化しますので様々な表現が可能となります。
②汚れ・キズを目立たせない
梨地の凹凸は指紋・汚れなどが目立ちにくくする効果があります。
凹凸によって表面は光を乱反射させるため、キズまで目立ちにくくなります。
また製作時についてしまった擦りキズ、焼け跡なども梨地加工で目立たなくする事も
可能です。
③様々な機能を付与
梨地の凹凸は滑り止めの効果や表面積が増える事で放熱性、保油性、密着性が向上。
光を乱反射させるので反射防止、ぼかし、艶消しなどの効果があります。
まとめ
ブラストは「梨地加工」「洗浄」「接着性の向上」「疲労強度の向上」など
多くの加工効果を得る事ができます。
中でも梨地加工は意匠性向上と防汚効果、様々な機能付与を目的とし多くの場面、
製品に施されています。
ブラスト加工は塗装の下地処理としても優秀な効果を発揮するため、
そちらに目が行きがちですが研削材を変える事で様々な加工も可能となります。
仕上がり、加工効果は使用する研削材によっても変化しますので、
気になった方はお気軽にご相談ください。