一般的に普及している4種類について加工方法と特徴を紹介します!
どれも研削材となる粒子を表面に衝突させ、加工を行うところは一緒です。
①エアーブラスト(別名:乾式ブラスト)

圧縮した空気(エア)を利用する事で、研削材を発射します。
作業員が加工を行う「手動式」、ロボットによる「自動式」があります。
原田鉄工のブラスト設備もこちらのエアーブラストとなります。
使用する研削材によって一般的な呼び方が異なります。
砂 = サンドブラスト、グリット(多角形状の鋼) = グリットブラスト、
ドライアイス = ドライアイスブラストなどここから多くの種類に分類されます。
エアー圧力と研削材を変更する事で研削力・仕上がりを調整できる特徴があります。
加工目的は下地処理としての粗面化、錆や汚れなどの除去、塗装剥離、梨地加工など
多岐にわたります。
[メリット]
・脆く割れやすいガラス~重量のある鋼など豊富な種類・サイズを使用できる。
・ノズルを変更する事で、配管内部や入り組んだ内面など特殊な部分も加工可能。
・複雑な形状でも加工可能で、対応できる素材の幅が最も多い。
[デメリット]
・圧縮した空気を一緒に研削材を発射するので、研削材・粉塵が広範囲に飛散する。
・圧縮した空気の力で強度の無い製品は変形・歪みなどが発生しやすい。
・作業員の防具の他、集塵装置や研削材の回収装置、コンプレッサなど設備が必要。
②ショットブラスト(別名:機械式ブラスト)

モーターでインペラ(羽根車)を回転させ、遠心力を利用し研削材を投射します。
製品をセットするだけで自動で加工する仕組みとなります。
ショットと呼ばれる金属製球状の研削材を使用する事がほとんどです。
自動で広範囲に研削材が投射できるのが特徴で、大面積・多ロットの加工に適しています。
加工目的はバリ取り、表面研磨、梨地加工、疲労強度向上のピーニング処理など。
[メリット]
・構造的にシンプルかつ自動な為、設備とコストを抑える事が可能。
・広範囲に研削材を投射するので、大面積の加工が容易。
・球状の研削材を使用するため、粉塵の飛散が比較的少ない。
[デメリット]
・一定の方向・距離・角度から投射するので、複雑な形状などは加工が難しい。
・加工する力を調整できないので、精度の高い加工には向かない。
・使用可能な研削材の種類が少なく、対応できる加工に限りがある。
③ウェットブラスト(別名:湿式ブラスト)

エアーブラストと似たような仕組みですが、
圧縮した空気の力を利用して水と研削材を混ぜたものを発射します。
作業員が加工を行う「手動式」とロボットによる「自動式」があります。
水と研削材を混ぜる事によって通常では制御できない微粒子を研磨剤として使用し、
精密加工ができるのが特徴です。
加工目的は微細な粗面化、表面研磨、表面洗浄、バリ取り、梨地加工など。
[メリット]
・薄物や電子部品、プラスチックなども損傷を最大限に抑えた加工が可能。
・エアーブラストでは扱えない細かい研削材を使用する事ができる。
・水と研削材を混ぜているため、粉塵がほとんど発生しない。
[デメリット]
・水に弱い、錆びやすい、濡れると性質が変化する素材などは加工できない。
・研削力が低いため、対応できる加工に限りがある。
・エアーブラストにプラスで水を循環させる装置、排水などの装置が必要となる。
④バキュームブラスト(別名:吸引式ブラスト)

圧縮した空気の力を利用し、ノズル内で研削材を発射及び回収を行います。
作業員がノズルを押し当てながらブラスト加工を行う仕組みです。
ノズル内で加工を行う為、研削材の飛散・粉塵の発生を防ぐ特徴があります。
加工目的は屋外現場の下地処理としての粗面化、錆や汚れの除去、塗装剥離など。
[メリット]・屋外作業などでも養生作業不要で加工できる。
・機材設備がコンパクトなので、運搬と設置が容易。
・研削材の飛散が無いので、複数人での作業が可能。
[デメリット]
・研削力が低いので、小面積でも加工に時間と労力がかかる。
・ノズルを密着させる必要があるので、基本的に平滑面の処理となる。
・作業員の防具の他、発電機、コンプレッサなど設備が必要。
まとめ
ブラストは研削材が「乾いてる or 濡れてる」、加速方法が「圧縮空気 or モーター」
この2点で大きく分類されます。
更に加工方法と仕組みの違いによって「エアーブラスト」、「ショットブラスト」、
「ウェットブラスト」、「バキュームブラスト」などに分かれます。
エアーブラストが研削材によってサンドブラストやグリットブラストなど
呼び方が色々あるのが、ややこしいですよね…
紹介したブラスト加工4種類は使用可能な研削材、研削力、加工方法が大きく異なる
のでそれぞれメリット・デメリットがあります。
対応できる加工も異なりますので加工する目的や周辺の環境、製品の形状や強度など
考慮し、適切な方法にてブラスト加工を行う必要があります。