素地調整と下地処理の違い
「素地調整」と「下地処理」(下地調整とも呼ばれる)はどちらも同じような
意味合いで使われる事が多く、どちらも塗装の前処理となります。
実際の仕様書などでも明確に使い分けられている事はあまりありませんが、
「素地調整」と「下地処理」は厳密には異なる作業となります。
素地調整
表面に塗装といった手が加えられていない「素地」を塗装に適した表面にする。
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下地処理
表面へ塗装などが行われた「下地」を塗装に適した表面にする。

素地調整と下地処理はどちらも「塗装に適した表面へ変化させる」作業ですが、
作業を行う前の状態が異なります。
しかしながら実際には「素地調整」と「下地処理」はどちらも区別されずに
使われている事がほとんどです。
発注者と工事者の間で思い違いとなる可能性があるのであまり気にせずに
「塗装に適した表面へ変化させる作業」と捉えた方が良いかもしれません。
素地調整と下地処理の作業方法
塗装に適した表面へ変える方法はいくつかあり
「表面の状態」や「必要な耐久性」を考慮しながら組み合わせて作業します。
《 脱脂作業 》
表面に付着している油分や汚れは塗料を弾くため、取り除く必要があります。
有機溶剤や洗剤を使用し、拭き取り・乾燥させます。
《 ケレン作業 》
表面に付着した酸化被膜や錆、劣化した塗膜は塗料の密着を妨げる原因となります。
電動工具やブラスト処理などで表面の付着物を除去しましょう。
《 パテ、プライマー塗布 》
表面の状態が悪い場合にはパテ付けをすることで、仕上がりを美しくできます。
対象物の材質によっては専用のプライマーを塗布する必要があります。
素地調整と下地処理の重要性
塗装を行う前には絶対にやらなければならないってほど重要です!
素地調整や下地処理を行わず塗装した場合には
・ゴミや汚れが塗装後の表面に浮き出るので仕上がりが悪い。
・塗料が密着できていないので簡単に剥がれてしまう。
・そもそも塗料が弾かれて塗装できない。
このような「不良品」が出来上がることになってしまいます。
逆にキチンと処理を行うだけで仕上がりと塗装の耐久性が大きく向上するのです。
まとめ
素地調整と下地処理は厳密には作業を行う前の表面状況が異なる。
しかしほぼ区別される事はないので、どちらも表面を塗装に適した状態へ変化させる
認識で問題ありません。
塗装した後には「どのような処理をしたか?」「どの程度処理したか?」など
塗料が隠れてしまい目立ちにくい作業なので、軽視される事もありますが…
素地調整や下地処理を怠ると重大な塗装不良へとつながります。
素地調整や下地処理は予算・製品の状態・必要な耐久性を考慮して方法や精度を
選択する事が重要となります。
【金属塗装が剥がれる原因とは?】
【素地調整 ISO規格とSSPC規格一覧表】