膜厚って何?
塗装は液体だったり粉体状の塗料を表面に付着させます。
その後加熱や時間経過などを経て完全硬化する事で「塗膜」と呼ばれる
被膜が完成します。
この塗膜の厚みを「膜厚」と呼びます。
膜厚はμm(マイクロメートル)やμ(ミクロン)といった単位で表されます。
髪の毛の太さは大体50μm~100μmとの事です。
1μm = 0.001mmなのでめちゃくちゃ小さい単位となります。
膜厚の重要性について
μmなどの細かい単位を使うだけあって、実際原田鉄工で行っている塗装も
下塗りだけ 15μm~75μm
上塗りまで 300μm~500μm
といった仕様がほとんどで、塗装は実は髪の毛数本分の厚みしかありません。
ですが、この10μmや100μmの膜厚の差で耐久年数は大きく変わってしまいます。
塗料の種類や使用されている環境にもよりますが一般的な上塗り塗料だと
エポキシ塗料・・・初年度から塗膜劣化 10.0μm/年
ウレタン塗料・・・2年目以降塗膜劣化 2.0μm/年
フッ素塗料・・・・7年目以降塗膜劣化 0.5μm/年
年間に膜厚が消耗するとも言われております。
耐用年数を左右する大きな要素として酸素の遮断性も考慮しなければならないので
単純に膜厚÷年間の膜厚消耗で耐用年数が決まるという訳ではありませんが、
たった10μmの差も重要になるのが膜厚です!
ですが
だからと言って単純に「とにかく厚く塗装すれば良い」という訳でもありません。
塗料には保護性能が最大限に発揮される膜厚が定められています。
厚すぎる膜厚は硬化不良・ひび割れ・剥離の原因となり、
薄すぎる膜厚は当然本来の保護性能を発揮する事ができません。
また均等な膜厚がベストとされ、バラつきのある膜厚は薄い箇所から早く劣化してしまいます。
厚すぎても薄すぎてもダメ、たった何μmといった細かい世界ですが、
製品の耐久性を大きく左右する膜厚は塗装において非常に大きな要素です。
まとめ
膜厚は硬化した塗膜の厚みで製品を保護してくれている膜ですが、
紫外線など様々な影響を受ける事で年々減少してしまいます。
メーカーが定めた膜厚を遵守しながら塗装を何層も塗り重ねていくことで
製品の耐久性・耐用年数を大きく向上させる事ができます。
バラつきなく適切な膜厚を形成するために
調整・検査を行いながら塗装工程を進める事が重要です。
【金属塗装 ~塗装の流れ(工程)を紹介~】
【塗装道具による膜厚の違い】